群馬県信用保証協会

前橋公園周辺

折々の散歩道

県都前橋の粋を堪能する

前橋市

 群馬県外から知り合いを招いて、県内を案内するような機会がたまさかあります。このような場合、通常の付き合いの関係性とは別に、ビジター対ガイド、ゲスト対ホストという関係性も付加されてきます。「ホスト」的な立場からは、充分なもてなしにより満足して帰ってもらいたいと思うものですが、「ガイド」的な立場からは、群馬県の良さを知り群馬ファンとなって帰ってほしい、という思いが湧き起こってきます。このようなホストやガイドの経験を通じて、私たちは、郷土を知り、郷土愛をはぐくみ、群馬県民であることに一層誇りを持つようになります。私たち県民一人ひとりが、日頃から、群馬県のガイドなのだという意識を持つことができれば、これまで以上にポスピタリティに満ちた優しく元気な県になっていくことでしょう。

 さて、先ごろ、群馬県外から知り合いを招く機会に恵まれました。ほかの幹事役とともに苦心してガイドプランを練り上げ、それに沿って案内したところ、なかなか好評であったことから、今回は番外編といった趣向で、このプランを紹介させていただきます。

 プラン作りの要諦は、なんといっても、ビジターの趣味嗜好といった属性や、目的等を的確に把握することです。今回は、趣味の詩作を通じて知り合った、東京の詩人Hさんから、前橋で句会を開きたいという相談を受けたことからスタートしました。句会といっても、参加者は十人程度で、皆ほとんど俳句の心得はなく、散策を楽しんでから作句して披露しあう、というだけのもの。どちらかというと、おいしいものを食べ、よい景色を見て、交流を図る、というほうに重点が置かれています。また、Hさんは車椅子に乗っているため、散策コースは短めにし、極力バリアフリー化されていることが条件になります。句会は土曜日に開催したのですが、H夫妻はロイヤルホテルに前泊したので、案内は金曜日の夜からスタートしました。

 金曜日の夜、仕事を終えてからロイヤルホテルに向かい、ロビーでH夫妻と合流。ホテルは私がプランしたものではなく、Hさんが自ら選んだのですが、部屋の眼下に見える群馬大橋のライトアップに感動し、また泊まりたいと言っていました。H夫妻は早めにチェックインして、夕焼けに染まる山並みや利根川の流れ、そして漆黒のなかに浮き上がる群馬大橋といった、美しく移ろいゆく風景を、じっくりと堪能したそうです。夕飯は、ガラス張りの展望エレベーターからの夜景を楽しみつつ、群馬県庁の31階まで案内し、ふたつの飲食店からこの日の気分でHさんが選んだ「くろ松」に入り、県産食材を使った料理と群馬の地酒を堪能しました。一緒に句会の幹事を務めた高崎のKさんも途中から合流し、ホテルに戻り、皆で部屋に行き、夜景を眺めつつおしゃべりを楽しみました。

 翌日の句会は、午後12時過ぎに、県外参加者を前橋駅で迎えました。少し早目に行き、駅に併設する前橋物産館で参加者への土産選びをし、あれこれ迷った末、七福神あられや、前橋の代表的風景が印刷された名刺用紙を購入しました。参加者は県外から5名、県内から4名の計9名。ガイドは車中からスタートします。前橋駅前から県庁前通りにかけてのケヤキ並木を抜け、群馬会館や新旧の県庁舎を眺め、前橋公園のさちの池と親水公園の間を走り、グリーンドーム前橋を右手に利根川沿いの道を進み、「朔詩舎」に到着します。参加者に詩人が多いということもあり、萩原朔太郎のミニ資料館ともいえる店内に飾られた初版本や自筆原稿などの資料を、皆真剣なまなざしで見ていました。今回の参加者はいずれもHさんの人脈によるもので、初対面同士も多いのですが、詩人、画家、ミュージシャンといった個性的な方ばかりで、すぐに打ち解け、予定をかなりオーバーして歓談が続きました。

るなぱあくのもくば館

るなぱあくのもくば館

 食事の後は、車で前橋公園に移動し、旧競輪場の駐車場に車を停めました。時間があれば公園全体をゆっくり散策したいところですが、ポイントを絞って回ります。まずは、昔から雰囲気の変わらないひょうたん池を散策し、カメラ愛好家だった朔太郎が撮った写真が残る、るなぱあくへ至る短いトンネルをくぐります。園内に足を踏み入れてすぐに見えてくるのは、懐かしい佇まいの木馬館。昭和29年に設置され、現役で稼働している遊具としては唯一の国指定登録有形文化財です。前橋市民である私も幼い頃乗ったことがあり、子供が生まれてからもよく足を運んでいます。その後、参加者に駆け足でるなぱあくの説明をしました。かつて県庁周辺には厩橋城があり、ここは空堀だったこと、その後牧場等に使われ昭和29年に遊園地を開園したこと、遊具は日本一の格安料金で、「日本一懐かしい遊園地」をキャッチフレーズにしていることなど……。園内をざっと散策してから、るなぱあくの北側を流れる風呂川を案内し、明治時代に県令により迎賓館として建てられた臨江閣に正門から入り、建物を鑑賞しました(時間の都合で内部の観覧は今回は省略)。次いで、臨江閣の眼下に広がる日本庭園を散策してから、あらかじめ前橋市役所に予約をしていた庭園内の和室で心を静めつつ、30分ほど俳句をひねりました。室内から眺める庭園や臨江閣の風景は情趣に溢れて美しく、いつまでもぼおっと眺めていたいほどでしたが、午後4時半に閉まるので、庭園内の東屋に場所を移し、全員の句を読みあげました。締めとして、想い出の品となる前橋土産を配り、会は終了となりました。

和風庭園から臨む臨江閣

和風庭園から臨む臨江閣

 ガイド役を務めながらも、私自身とても楽しむことができたプランだったのですが、群馬県庁や前橋公園周辺は、まだまだ見どころや魅力的な店がたくさんありますので、皆さんも自分なりのプランを立て、県外の知り合いを招いてみてはいかがでしょうか。

文/企画課 新井基之

●今回ご紹介したコース