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情報公開


 

平成29年度経営計画の評価

 群馬県信用保証協会は、公的な「保証機関」として、中小企業・小規模事業者(以下「中小企業」という。)の資金調達の円滑化を図り、中小企業の健全な育成と地域経済の発展に貢献してまいりました。

 平成29年度の年度経営計画に関する評価を、下記のとおり掲載いたします。

 この評価につきましては、横田秀治氏(公認会計士・税理士)、石田弘義氏(弁護士)により構成される外部評価委員会の意見・アドバイスを踏まえ、当協会の自己評価委員会により作成いたしました。

 この評価を参考にし、平成29年度の年度経営計画の達成に向け、引き続き業務に邁進いたしますので、関係機関の皆さまにおかれましては、ご理解、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

1.業務環境

(1)地域経済及び中小企業の動向
 県内の景気は、政府・日本銀行(以下「日銀」という。)による一連の経済対策・金融政策により、様々な経済指標からは、緩やかな回復基調となっており、一部の大企業は順調に収益を伸ばしているものの、多くの中小企業においては、人手不足や労働生産性向上の遅れ等の課題も抱え、依然として厳しい経営環境が続いています。

(2)中小企業向け融資の動向
 日本銀行前橋支店(以下「日銀前橋」という。)の29年度の管内金融経済概況によると、県内金融機関の貸出金残高は、一貫して前年を上回る状況で推移しました。また、金利は、下降基調で推移しました。

 日銀前橋の企業短期経済観測調査(以下「短観」という。)における企業への金融機関の貸出態度判断DIは、一貫して「緩い」が「厳しい」を上回る状況で推移しました。

(3)群馬県内中小企業の資金繰り状況
 日銀前橋の短観によると、全産業における企業の資金繰り判断DIは、29年4月から30年3月まで連続して「楽である」が「苦しい」を上回る状況で推移しました。

(4)群馬県内中小企業の設備投資状況
 日銀前橋の短観によると、中小企業の29年度の設備投資実績は、製造業で前年度比マイナス、非製造業で前年度比プラスを見込んでいます。30年度の計画は製造業で前年度比プラス、非製造業で前年度比マイナスとなっています。

(5)群馬県内の雇用情勢
 群馬労働局によると、有効求人倍率は1.62倍で、前年度より0.14ポイント増加しました。新規求人数は、前年度比で2.1%増と3年連続して増加し、有効求人数も前年度比3.6%増と3年連続して増加しました。

 日銀前橋の短観における雇用人員判断DIは、製造業、非製造業ともに「不足」が「過剰」を上回る状況が続きました。今後も同様の状況が続くと予測しています。

2.事業概況

 保証承諾は、日銀のマイナス金利政策や金融機関を取り巻く環境の変化等の影響もある中で、29年度に創設した事業者カードローン当座貸越根保証「Gライト」(以下「Gライトカード」という。)や借換保証制度「Gプライム保証」等の借換保証の利用が活発で、年度累計は1,235億77百万円(計画比114.4%、前年度比115.0%)となりました。一方、保証債務残高は、低金利下における金融機関のプロパー融資での取り組みや、保証付融資の繰上償還等が要因となり、3,470億90百万円(計画比98.8%、前年度比91.5%)となり28年度実績を下回りました。

 代位弁済は、76億5百万円(計画比101.4%、前年度比95.5%)となり、8年連続して減少しました。金融円滑化法の終了後もその趣旨を踏まえ、条件変更や借換保証に積極的に取り組んだほか、経営・再生支援の強化が功を奏しました。しかし、依然として条件変更を繰り返す企業が多く、保証債務残高に占める返済緩和中残高の割合が高止まりしていることから、今後の景気動向如何では、代位弁済が増加することも懸念されます。

 回収については、担保や第三者保証人のない求償権の増加等、回収を巡る環境が厳しい中で、現況把握・実態把握に努めた地道な回収努力や、事業再生支援等による回収もあり、回収額は20億89百万円(計画比122.9%、前年度比129.2%)となり28年度実績を上回りました。

平成29年度の主要業務数値は、以下のとおりです。

項 目

件数(前年度比)

金額(前年度比)

計画値(金額)

計画達成率

保証承諾

12,226件
(102.0%)

1,236億円
(115.0%)

1,080億円

114.4%

保証債務残高

49,087件
(89.2%)

3,471億円
(91.5%)

3,513億円

98.8%

代位弁済

1,024件
(93.0%)

76億円
(95.6%)

75億円

101.4%

回収

21億円
(129.1%)

17億円

122.9%

3.決算概要

 平成29年度の決算概要(収支決算書)は、以下のとおりです。

項 目

金額(単位:百万円)

経常収入

5,082

経常支出

3,802

経常収支差額

1,280

経常外収入

9,241

経常外支出

9,598

経常外収支差額

▲357

制度改革促進基金取崩額

0

収支差額変動準備金取崩額

0

当期収支差額

923

 年度経営計画に基づき保証業務の適正な運営と経営の効率化に努めたことに加え、代位弁済が減少基調にあることや、事業再生支援並びに地道な回収努力による回収額の増加等から、収支差額は9億23百万円(計画比127.3%)の黒字計上となりました。この収支差額の処理については、4億61百万円を収支差額変動準備金に、残額を基金準備金に繰入れました。

4.重点課題への取り組み状況

(1)中小企業の金融円滑化と政策保証等の推進
   中小企業の振興と地域経済の活力ある発展に貢献するため、金融機関をはじめとする関係機関との連携を強化し、政策保証や借換保証等をはじめ、中小企業のライフステージに応じた保証依頼にきめ細かに対応し、金融の円滑化に努めるとともに、創業・経営・再生の三つの支援業務を積極的に推進しました。

 保証承諾は、日銀のマイナス金利政策や金融機関を取り巻く環境の変化等の影響もある中で、返済緩和先の正常化に向けた借換保証による借換集約を推し進めた結果、1,235億77百万円(前年度比115.0%)となりました。一方、保証債務残高は、金融機関が低金利情勢下において積極的にプロパー融資に取り組んでいることや、引き続き保証承諾よりも償還が上回っている状況が続いているため、3,470億90百万円(前年度比91.5%)と減少しました。

 中小企業や金融機関の利便性を高めるため、29年度は当協会独自の保証制度を3つ創設しました。利用対象者を法人に限定し、全国統一制度の資格要件より要件を緩和し利便性を向上させた、「Gライトカード」は、681件、28億14百万円の承諾実績となりました。複数の異なる保証制度を利用した借入金を借換集約し、月々の返済負担の軽減や返済を正常化することを目的とした、借換保証制度「Gプライム保証」は、863件、245億47百万円と活発な承諾実績となりました。事業承継を後押しするため保証料率を0.2%割引した、事業承継保証制度「次世代サポート保証」については、承諾実績はなかったため、引き続き利用促進に向けて周知に努めます。このほか、28年度に創設した中小企業の設備投資意欲の後押しと生産性向上支援のため、当協会独自に保証料を割引した「設備応援Gパワー保証」は、288件(前年度比96.0%)、42億95百万円(前年度比91.5%)、金融機関と連携し積極的に地域貢献に取り組む中小企業の資金繰り等を支援する「地域貢献応援私募債保証」は、通常の私募債保証も含めて15件(前年度比125.0%)、6億16百万円(前年度比70.6%)の承諾実績となりました。また、金融機関との協調支援を行う「パートナー保証」は、131件(前年度比51.4%)、15億25百万円(前年度比47.7%)、経営者保証ガイドライン対応保証は1件、15百万円の承諾実績でした。

 全国統一の「中小企業の会計に関する基本要領」に基づく保証料割引制度は29年3月末をもって終了となりましたが、中小企業支援に対する当協会独自の取り組みとして、30年3月末まで継続して取扱いました。

 返済緩和先への対応としては、29年度末をもって県制度等の期間延長や借換要件緩和の特例措置が廃止されることに伴う県経営力強化アシスト資金による借換の推進や、Gプライム保証等の借換保証による借入金の集約提案を積極的に行い、返済緩和先の正常化策を推し進めました。その結果、返済緩和残高は28年度末の1,211億76百万円から、29年度末には1,020億76百万円へ191億円減少しました。分母である保証債務残高が減少する中で、返済緩和率は28年度末の31.9%から、29年度末の29.4%へ2.5ポイント改善しました。また、中小企業金融円滑化法の終了後も、引き続き返済の軽減が必要と判断される場合は、金融機関と連携して条件変更による返済緩和支援を継続しており、条件変更の承諾件数は、12,235件(前年度比89.6%)となりました。保証承諾件数全体に占める構成比は50.0%となり、5年連続して半数以上となっています。

(2)金融支援と経営支援の一体的な取り組みの推進
 経営支援は、企業支援課を中心に推進していますが、営業部・各支店においても各保証課の中小企業診断士資格を有する職員や経験豊富な職員である経営支援担当者が、中小企業の経営改善に取り組みました。

 繰り返し借入金の返済方法の変更を余儀なくされる等、経営に支障を生じている中小企業に対して、経営改善計画の策定等が必要と判断される場合には、国の補助金事業である信用保証協会中小企業・小規模事業者経営支援強化促進補助金事業(以下、「13億円事業」という。)や認定支援機関による経営改善計画策定支援事業(以下、「405事業」という。)に対する当協会独自の費用補助等を活用し、専門家による経営診断や経営改善計画の策定支援等に積極的に取り組みました。経営改善計画等の策定企業数は、13億円事業が60企業、405事業が26企業となりました。

 金融支援と経営支援の一体的な取り組みを推進するため、群馬県経営サポート会議(以下、「経営サポート会議」という。)を開催し、業績が改善基調にある先に対しては、当協会独自の「Gプライム保証」や、「経営力強化保証」、「県経営力強化アシスト資金」、「経営改善サポート保証」等の借換保証を活用して、借入金の借換集約による資金繰りの安定と返済正常化を図ったほか、妥当性があると判断される企業に対しては真水支援も行いました。また、業績回復に時間を要する先や、経営支援が必要と判断される先に対しては、暫定的な計画策定を提案し、返済額の軽減を継続して資金繰りを支援しました。経営サポート会議は、当協会が事務局を務め、中小企業と取引金融機関が一堂に会し、中小企業が経営改善計画策定に向けた決意表明や経営改善計画の内容、金融支援等についての合意形成を図る場で、29年度は92企業に対し、96回開催しました。

 返済緩和先の正常化に向けての取り組みとして、条件変更先に対して借換提案を行った件数は714件でした。経営力強化保証の承諾実績は、144件(前年度比221.5%)、19億49百万円(前年度比166.1%)、経営改善サポート保証は、123件(前年度比273.3%)、39億6百万円(前年度比308.8%)で、特に借換保証の承諾実績は、4,466件(前年度比121.4%)、605億87百万円(前年度比166.3%)と伸張し保証承諾金額全体に占める構成比は49.0%となり、前年度比で15.1ポイント上昇しました。

 延滞先に対しては、企業支援課と保証課が連携して、延滞解消及び事故発生抑制に取り組みました。企業支援課では、金融機関の本部へ「営業店別の延滞先個別リスト」等を毎月送付し、営業店への延滞解消への働きかけを依頼しました。保証課では、延滞率の高い管轄区域内の営業店に対して、訪問や電話照会等により延滞先に関するヒアリングを行い、正常化に向けた具体策を協議しました。金融機関の営業店への訪問は、109店舗訪問し、125企業に対して、実態把握や延滞解消に向けた具体策を協議し実施しました。保証統括部と営業部・各支店一体となった取り組みの結果、延滞率は0.43%となり、28年度の0.32%に比較し0.11ポイントプラスと2期連続して増加したものの、企業支援課を創設した23年度以降の平均0.49%と比較し、低水準を維持しています。引き続き、経営支援課と保証課の連携による初期延滞先管理を強化していきます。

 再生支援については、貸出残高割合に応じた返済額の調整が中心ですが、企業再生の実現に向けて、群馬県中小企業再生支援協議会等の関係機関と連携し、保証債務の劣後化等の再生手法案件にも積極的に取り組みました。29年度は、合計73企業の再生支援に取り組みました。また、28年度は、8期ぶりに「創業・再挑戦・再生審査会」の開催・審議を経て求償権消滅保証を実行しましたが、29年度は取り扱い実績がありませんでした。

 相談業務については、「金融・経営窓口相談コーナー」への235件の相談のほか、中小企業の現場に直接訪問し面談する「出前金融・経営相談」が3件、合計238件の実績がありましたが、「年末・年度末金融経営相談会」の実績はありませんでした。

 「中小企業診断システム」については、29年6月にCRD協会より講師を招き研修を行い、29年7月より中小企業訪問時に持参して積極的な活用を開始し、企業経営の参考資料や対話の糸口として提供・活用し、合計27件の実績でした。

 大口保証利用先の業況把握のためのモニタリングについては、金融機関と連携して132先(計画比94.3%)に対して実施しました。今後も、金融機関のモニタリング資料を活用する等により、適切なモニタリングを継続します。

 事業承継支援については、下期から群馬県中小企業診断士協会との業務委託契約を改定し、専門家派遣事業に「事業承継助言」「事業承継計画策定」を追加して、専門家派遣を実施できる体制を整えました。28年度に経営改善計画策定支援を実施した企業に対して、当協会より円滑な事業承継に向けた事業承継計画策定の提案を行い、1先に対して専門家派遣を実施しました。

(3)創業支援の取り組みの推進
 創業支援については、地方創生への貢献のためにも、4つの柱からなる創業トータルサポート体制(相談:創業応援チームやシルキークレインによる相談、ガイドブック:創業サポートガイドによる創業計画策定支援、金融:創業チャレンジ資金等による金融支援、広報:FM GUNMAと共同制作の創業応援ラジオ番組「チャレンジ・ザ・ドリーム」と創業セミナーの開催)を引き続き推進し、創業相談から保証、創業後のモニタリングまで、積極的に取り組みました。また、13億円事業を活用して、専門家による創業相談、アドバイス、創業計画策定支援等についても積極的に取り組みました。

 創業に関する保証承諾(創業等関連保証・創業関連保証)は、219件(前年度比92.8%)、11億83百万円(前年度比86.1%)となりました。このうち当協会又は認定支援機関が創業計画の策定支援等を行う「創業チャレンジ資金、女性・若者・シニアチャレンジ資金」(群馬県創業者・再チャレンジ支援資金B−2、B−3)は、85件(前年度比96.6%)、4億23百万円(前年度比93.6%)の承諾実績でした。

 29年10月には女性創業応援チーム「シルキー クレイン」が中心となって、2回目の「女性向け創業セミナー」を開催し、相談や情報提供等を行いました。また、シルキー クレインと金融機関の女性職員との意見交換会等を3回開催したほか、フリーランス女子会主催「グランツガーデン」に金融機関の女子職員との共同で相談ブースを出展し、前橋市主催の「女性起業者向けセミナー」や金融機関主催の創業スクールでは講師を務めました。29年度のシルキー クレインの相談実績は60件で、この内、直接相談が13件、金融機関経由の申込相談が47件であり、直接相談を受けた創業予定者2名に対しては、13億円事業を活用した「創業助言」を行いました。

 創業後のモニタリングについては、金融機関と連携して168先に対して実施しました(創業支援係125先、保証課43先)。モニタリング訪問の際に、創業者が経営課題を抱えていた場合は、13億円事業を活用した専門家派遣を提案し、4先に対して実施しました。

(4)金融機関、関係機関との連携強化
 金融機関との連携強化を図る取り組みの一環として、役員による金融機関本部訪問や、営業部・各支店長による金融機関営業店訪問を積極的に行い、意見交換を行う中で、信頼関係・協力関係の強化に努めたほか、金融機関営業店と相互理解を深めることを目的に、「若手職員向け基本研修・意見交換会」や「金融機関向け勉強会」を38回開催しました。また「金融機関内部勉強会への講師派遣」を行う等、各階層、各部署において金融機関との相互理解に向けた取り組みを積極的に行いました。金融機関の役員・融資担当部長クラスが参加する保証業務連絡協議会は5回開催し、保証の適切な利用に係る意見交換を行いました。なお、30年4月より実施される信用保証制度の見直しに係る対応については、「保証業務連絡協議会(1月24日)」、「連絡所担当者情報交換会(1月25日)」、「信用保証制度見直しに係る金融機関実務担当者向け説明会(2月7日)」を開催して説明し、金融機関をはじめとする関係機関等への周知に努めました。

 関係89機関で構成される群馬県中小企業支援ネットワーク会議(以下、「支援ネットワーク会議」という。)は、全体会議を29年11月に開催しました。金融機関等を対象としたグループ別会議(分科会)は、9回開催しました。

 地方創生や中小企業への創業支援・経営支援等を目的とした金融機関との業務提携に係る覚書の締結を28年度より継続して推進し、高崎信用金庫(29年6月)、あかぎ信用組合(29年10月)、ぐんまみらい信用組合(30年3月)とそれぞれ締結し、締結先は合計8金融機関となりました。また、県、市、金融機関等関係機関が主催するビジネスマッチング等に後援団体として加わり、中小企業の販路開拓支援等に努めました。

 また、群馬県中小企業診断士協会や群馬県産業支援機構、群馬県中小企業再生支援協議会等との連携を強化するとともに、県、市等関係機関が開催した「県都まえばし創生本部有識者会議」、「群馬県中小企業サポーターズ協議会」等に積極的に参加し、連携強化を図りました。

(5)反社会的勢力排除及び不正利用防止
 反社会的勢力排除及び不正利用防止の対応として、新規利用先268件、創業先173件の現地調査を積極的に行いました。また、保証申込の受付や保証審査時の事務対応については、検査室と連携したチェック体制を構築し、公的機関としての使命感を持ちチェックを徹底しました。

(6)事故の正常化に向けた取り組みと事故管理の強化
 事故受付は、1,224件(前年度比91.8%)、85億55百万円(前年度比91.0%)、事故残高は、718件(前年度比80.2%)、51億57百万円(前年度比80.9%)となり、件数・金額はいずれも減少しました。これを受けて代位弁済も1,024件(前年度比93.0%)、76億5百万円(前年度比95.5%)となり、8年連続で減少しました。ただし、事故報告が提出された企業の状況は非常に厳しく、債務整理委任、債権・不動産差押等は引き続き高い水準で推移しました。

 調整課においては、実態把握等のため企業訪問・担保調査を123件、金融機関訪問を112件、来会要請を47件の合計282件と、前年度に比べ195件多く積極的に実施し、条件変更や借換制度を有効に活用する等、事故先の早期正常化に注力しました。事故受付から1年半を経過し、事故状態が長期化している案件については、「事故整理強化期間」を2度設け、一斉に状況を確認して事故解除に向けた取り組みを行い、29年度は100企業、債務残高11億63百万円を対象とし、9企業、1億52百万円の事故解除を図りました。しかし、約定返済を履行しているものの、税金滞納等による差押が解除されないことにより事故解除が困難な案件が55企業、108件に上ったため、事故調整の年度累計は21億26百万円(前年度比85.9%)となりました。

 また、関係人の資産情報等の収集については、金融機関からの情報提供310企業に加え334企業を調査し計644企業を実施、現地訪問や面談による現況確認と併せ、回収部門へ情報を引き継ぎました。

(7)冷却期間に捉われない代位弁済の実行
 代位弁済が避けられないと判断された場合、期限の利益喪失後、早期に代位弁済請求を受付し、速やかな代位弁済を実行するように努めました。代位弁済請求を受付した992件、73億77百万円のうち632件(構成比63.7%)は、期限の利益喪失後2ヶ月以内の受付であり、代位弁済を実行した1,024件、76億5百万円のうち946件(構成比92.4%)は、代位弁済受付後2ヶ月以内の実行となりました。これにより、回収部門への引継期間が短縮され、早期回収の着手に貢献できました。

(8)回収に係る多様な取り組み
 求償権回収を巡る環境は、有担保求償権の減少、第三者保証人の原則非徴求、関係人の法的整理移行等により、回収困難な求償権が増加し、非常に厳しい状況が続いていますが、現地調査による現況把握を積極的に行い、効率的な回収督促や再生支援による回収等に取り組みました。

 経営者保証ガイドラインによる保証人の免除については、2企業に対して計画の合意がなされました。

 保証協会債権回収(株)(略称:サービサー)に、求償権の管理回収業務を委託し、低コストによる管理回収体制を構築し活用しました。

 回収事務の合理化・効率化を図るため、コンビニ入金の利用を促進したほか、各種事務を管理統括課で一元処理することにより、各管理課担当者の事務負担軽減を図りました。

(9)人材育成及び組織力強化並びに働きやすい職場環境の向上
 中小企業のニーズを捉えたより良いサービスを提供するためには、個々の職員の資質向上を図るとともに、その能力を十分に発揮できる組織体制の構築と強化、及び職場環境の整備が重要であり、これに積極的に取り組みました。

 全国信用保証協会連合会(以下、「連合会」という。)等の定例的な研修以外にも、企業訪問研修(参加者23名)、他協会視察(2回、2協会、参加者6名)を実施したほか、各種外部研修にも参加しました。また、新任課長研修及び信用調査検定プログラム対策研修等内部研修計画の実施により、人材育成に努めました。

 こうした取り組みの結果、資格取得を推進している中小企業診断士の資格を有する職員は13名となり、29年度は中小企業診断士試験の一次試験に2名が合格し、3月より同職員を中小企業診断士養成課程へ派遣しました。また、職員の均質的な能力の向上等を図ることを目的として連合会が実施している「信用調査検定プログラム」については、マスター(上級)、アドバンス(中級)、ベイシス(初級)の3段階があるが、積極的に受験を呼びかけ、29年度はマスター9名を含む16名が合格しました。これにより、合格者の累計は、マスター38名、アドバンス53名、ベイシス19名、合計110名となりました。

 国の動向や全国の保証協会の様々な取り組み等に関する情報をスピーディーかつタイムリーに収集し、職員への情報提供や職員の資質の向上を図ること、及び人材育成を目的とし、28年4月から30年3月まで連合会へ職員1名を派遣しました。30年4月からも職員1名を派遣します。また、30年1月には、保証協会を取り巻く諸情勢を正しく理解するために、連合会から講師2名を招き「信用補完制度を取り巻く諸情勢について」及び「群馬県信用保証協会の保証の状況について」と題して、講演会を2日間に亘り開催し、合計90名が受講しました。

 「年度経営計画」の策定については、多くの職員が計画の策定段階から参加し認識を共有することにより、全役職員が一丸となって経営計画等に取り組めるよう、29年1月より経営計画策定に係る「意見交換会」を開催しており、「30年度経営計画」及び「30〜32年度中期事業計画」策定に際しても、本部組織のほか、各部・支店より一般職を含む職員が参加し、意見交換会を2回開催しました(参加者は1回目が22名、2回目が29名)。また、「29年度(上期)経営計画の評価」に際しても、計画策定時の意見交換会のメンバーと所属長が出席した意見交換会を29年11月に開催し、年度経営計画の進捗状況を確認するとともに、達成に向けて認識を共有しました。

 当協会が取り組むべき課題等について、所属長が意見交換を行う場として「所属長意見交換会」を設けており、29年度は7回開催しました。所属長意見交換会においては、返済緩和先の返済正常化に向けて、複数の異なる保証制度を借換一本化する独自の借換保証制度の創設について、意見交換を行ったほか、信用保証協会法の改正等に対応し、経営支援業務への取り組みを強化する組織体制の検討を推し進めるため、企画課を事務局とする「経営支援業務等に対応するための組織体制の検討等に係るワーキンググループ」の設置を検討しました。ワーキンググループでは、合計10回の検討会議を開催し、10月には所属長意見交換会と常勤役員に対する中間報告、11月から12月にかけて所属長意見交換会と常勤役員に対する最終報告案の報告を行い、最終報告を取りまとめました。

 人材育成や組織力強化を図ることを目的として、30年度から、職員個人が自ら経営計画等に関連した業務上の目標を設定し管理する「自己申告書」を導入するとともに、勤務評定に係る事務の見直しを行うため、事務説明会(8〜9月)、外部講師による被評定者研修・評定者研修(10〜11月)、自己申告書等に係る実務研修(30年2月)をそれぞれ実施し、運用開始に備えました。

 職場環境向上のため、月に一度開催している衛生委員会において、職員のメンタルヘルスケア等心身の健康に関する議題をテーマとして取り上げて意見交換を行い、その議事録及び議題に沿った情報を資料として全職員にメールで配信しました。

 29年度より、年次有給休暇とは別枠の季節休暇を年間5日以内(従来は4日以内)とし、時間単位での有給休暇の取得を可能としたほか、28年度に新設したリフレッシュ休暇(連続3日間)の取得も呼びかけ、職員の心身のリフレッシュを図るとともに、有給休暇の効率的な取得促進に努めました。なお、29年度の取得状況については、季節休暇が合計659日の取得(前年度比123.8%)、時間休暇は110名が取得し、リフレッシュ休暇は職員及び嘱託員合計138名のうち56名の取得(取得率40.6%)となりました。

 次世代育成支援対策推進法に基づき策定した一般事業主行動計画に掲げたとおり、所定外労働時間を削減するために、毎月第1・第2の月曜日と水曜日をノー残業デーと定める等、働きやすい職場づくりのための取り組みを継続しています。育児短時間勤務についても、適用可能期間を「子が小学校就学の始期に達するまで」(従来は3歳に達するまで)に拡大したほか、子の看護休暇、介護休業及び介護短時間勤務等についても、関連する法改正等に対応し見直しを行いました。育児休業取得については、男性職員の取得も含め、職場全体での取得を推進しました。

(10)コンプライアンス態勢の更なる強化及び検査体制の充実
 信用保証協会としての公共的使命・社会的責任を再認識し、コンプライアンス態勢の更なる充実・強化に努めました。

 コンプライアンス委員会は、検査室及び総務課との連携を図り、コンプライアンス・プログラムの実施等を通して、役職員のコンプライアンス意識の向上に努めました。具体的には、コンプライアンス委員会(年5回)や、コンプライアンス担当者会議(年2回)、コンプライアンス・チェックシートの内容見直し(29年4、10月)及び実施・検証(29年5、11月)、30年3月のコンプライアンス関連規程類の制定・改正等に取り組んだほか、役員が出席する協会内の各種会議等において、会長をはじめとした役員よりコンプライアンスの徹底を職員に要請しました。啓蒙活動に関する取り組みとして、DVDによる「暴力団排除」に関する研修(29年5〜7月の間)を実施したほか、29年7月に群馬県警察本部組織犯罪対策課の警部補を講師に招き、「暴力団排除研修会」(参加者41名)を実施しました。また、個人情報保護宣言の掲示、個人データ取扱状況の点検(29年5月、11月)等、個人情報保護にも取り組みました。

 内部検査に関しては、29年度より総務部、保証統括部及び管理統括部の各課について、検査実施間隔を3年から2年に短縮したほか、29年6月より、金庫の管理状況及び各支店の入退室の管理状況に関する検査項目の見直しを行う等、内容の充実を図りました。

 反社会的勢力排除及び不正利用防止の対応として、外部情報検索サービス(日経テレコン)による確認を29年度は373件行いました。また、保証申込の受付や保証審査時の事務対応については、保証推進課と連携したチェック体制を構築して、全国暴力追放運動推進センターからの情報の活用並びに群馬県暴力追放運動推進センターとの連携により、徹底したチェックを行いました。

 また、「保証月報」において「反社会的勢力とは取引しない」宣言文を毎月掲載し、「群馬県信用保証協会レポート(ディスクロージャー誌)」やホームページにも掲載しました。

(11)広報の強化
 信用補完制度を健全に運営するには、保証業務のみならず、支援業務や関係機関との連携体制、信用補完制度の仕組み等についても、中小企業に理解してもらうことが大切であるため、積極的に広報活動に取り組みました。

 4つの柱からなる創業トータルサポート体制を引き続き推進しました。当協会がスポンサーとなりFM GUNMAと共同制作している創業応援番組「チャレンジ・ザ・ドリーム〜群馬の明日をひらく〜」を29年度も継続し、更なる周知を図りました。

 28年度の同番組内容について単行本化し、8,000冊を発行し、関係機関だけでなく、県下の高校、大学、専門学校にも配布したほか、各種創業セミナーの参加者にも配布し、起業意欲の向上に取り組みました。このほか、放送内容は保証月報やホームページにも掲載し、一層の周知を図りました。19年度から毎年度発行している「ぐんまグッドサポートガイド」(創業・経営・再生の「三つの支援」小冊子)については、発行に向けて利用者の利便性向上や内容の充実等の精査を行いましたが、30年4月より実施される信用保証制度の見直しを踏まえ、30年度に改訂版を発行することとしました。「群馬県信用保証協会レポート(ディスクロージャー誌)」、「信用保証ガイド」についても29年度版を発行しました。保証月報については、29年6月号から、「保証利用奮戦記」の連載(3ヶ月毎)を開始し、1つの保証事例について金融機関担当者と当協会審査担当者の双方の目線から振り返り、取り組みの概要や感想についてプロフィールを交えながら紹介しました。

 群馬テレビ「ビジネスジャーナル」への定期出演(半年に1回)、東京信用保証協会主催のビジネスフェア「江戸・TOKYO技とテクノの融合展」への出展企業2社の紹介及び出展支援、群馬イノベーションアワード・群馬イノベーションスクールへのフィナンシャル・サポーターとしての協賛及び参加、各種保証制度の創設等に係るチラシ作成、保証月報やホームページ、マスコミの活用(記事・広告の双方)による適切な情報発信等により、当協会の取り組みに係る広報に努めました。

 30年4月から実施される信用保証制度の見直しに係る対応では、見直し内容を保証月報やホームページに掲載したほか、創業応援ラジオ番組「チャレンジ・ザ・ドリーム」のお知らせコーナーでの一部制度の拡充の紹介等を行い、広報・周知に努めました。また、中小企業向けには、チラシ「信用保証協会の新たな取り組みについて」を作成し、金融機関をはじめとする関係機関の窓口に配布して対応しました。

(12)電算システムの安定的な運用等
 システムの運用委託先である保証協会システムセンター(以下、「センター」という。)との緊密な連携を図りながら運用しており、オンライン処理や夜間バッチ処理において大きな問題の発生もなく、安定した運用を行いました。また、センター主催の転入者研修(参加者2名)、中堅者向け研修(参加者1名)にそれぞれ参加したほか、5月には外部講師を招いた「データベース検索・帳票作成ツール」の研修を電算課の課員全員で受講して、他部署からの統計データ抽出依頼への対応力向上を図る等、運用担当者としてのスキル向上に努めました。

 29年10月より運用を開始した「反社会的勢力等情報共有システム」、及び30年度から実施される信用保証制度の見直しに伴う「金融機関支援状況システム」の新規運用に伴う事前検証作業や、随時行われるシステムの改修や変更に伴うテスト・検証作業についても、適切に対応しました。

 このほか、各部署に設置されているインターネットパソコンのセキュリティー強化策の実施、30年2月の統計システムの更改に伴う入れ替え作業等、遅滞なく行いました。

5.外部評価委員の意見等

  •  29年度の保証承諾は、日銀のマイナス金利政策や金融機関を取り巻く環境の変化等の影響もある中で、独自の借換保証制度「Gプライム保証」等の活発な利用により、計画比114.4%、前年度比115.0%と増加した。一方、保証債務残高は、計画比98.8%、前年度比91.5%と減少した。しかし、中小企業にとって利便性の高い独自保証制度を創設したこと、役員による各金融機関への訪問、各金融機関の支店長及び担当者との勉強会・意見交換会の実施、金融機関若手職員向け研修・意見交換会等の実施、地方創生や中小企業の振興に資することを目的とした金融機関との覚書の締結、中小企業の販路開拓のために金融機関等が主催するビジネスマッチング等への後援等の推進により、連携強化に努めたことは評価できる。今後も金融機関をはじめとする関係機関との連携を密にし、中小企業の資金需要に的確に対応し、金融の円滑化に引き続き積極的に取り組んでいただきたい。また、30年度に実施される信用補完制度の見直しに向けた周知活動についても、適切な対応がなされたと評価できる。

  •  4つの柱からなる創業トータルサポート体制を推進し、創業に係る多面的な金融・経営支援や、創業に係る広報について、今後県内の創業機運の醸成に寄与する重要な取り組みであると評価する。女性職員9名からなる女性創業応援チーム「シルキー クレイン」が中心となり、女性向け創業セミナーを昨年度に引き続き開催したことも評価できる。創業支援に対するこのような取り組みは、県内経済の活性化につながる意義のあることであり、引き続き積極的に対応していただきたい。

  •  経営支援について、条件変更を繰り返す等経営に支障を生じている中小企業に対して、支援ネットワーク会議や経営サポート会議の積極的な開催等により、支援体制を強化し、国の補助金事業の活用や協会独自の費用補助等により、経営改善計画の策定支援等に積極的に取り組んだことは、中小企業にとって心強いことであり、引き続き親身な支援業務を実施していただきたい。

  •  事業承継支援については、次世代サポート保証の創設や事業承継に係る専門家派遣の体制が整えられており、事業承継に課題を抱える中小企業の円滑な事業承継に対して、積極的に取り組んでいただきたい。

  •  求償権の回収環境が年々厳しくなり、回収実績を上げることが難しい状況にあるが、積極的な現地調査の実施により現況把握に努力している。多様な手法を用いた再生支援についても、引き続き金融機関をはじめとする関係機関と連携を図り、積極的に取り組んでいただきたい。

  •  コンプライアンス委員会、検査室及び総務課の連携によりコンプライアンス・プログラムの充実及びコンプライアンス態勢の強化並びに検査内容の充実を図ったことは、評価できる。引き続きコンプライアンス意識の徹底と態勢の充実強化を図るとともに、検査業務についても充実を図り、反社会的勢力の排除及び不正利用の防止に関する取り組みも、徹底していただきたい。

  •  電算システムについては、センターとの緊密な連携と運用担当者の育成により、安定運用が行われていることは評価できる。

  •  衛生委員会の活動を通したメンタルヘルスケアへの取り組みや、一般事業主行動計画等に基づき、より良い職場づくりのために注力していることは評価できる。また、人材育成と組織力強化の見地から、意見交換会の開催や各種研修を強化しているが、職員の意識やスキルを高める機会を与えるため、研修の内容や方法等について、引き続き工夫を凝らしていただきたい。なお、30年度導入の「自己申告書」については、業務上のコミュニケーションが進み、人材育成と組織力の強化につながるよう、適切に取り組んでいただきたい。

  •  条件変更や借換保証、延滞先の管理、経営支援・再生支援に積極的に取り組んだこと等により、代位弁済が8年連続で減少していることも寄与し、29年度の収支差額は計画を上回る9億23百万円であり、経営努力が実ったものと評価する。

以上

 

 


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