創業支援の取り組み事例

事例1【金融機関・支援機関と連携した創業支援】

企業の業種:編み物教室・飲食店営業
年商(目標):約1千8百万円
従業員:1名

1.創業の動機

 社長さんは、祖母の影響で幼い頃より編み物に親しまれていました。ご自身の技術向上を目的に著名なニット作家が主催する編み物団体に加盟したことをきっかけに、講師資格を取得、ご自宅で編み物教室を開業されました。今後の事業展開を考える中で、郊外という立地から自宅教室に限界を感じ、拠点を交通利便性の高い駅周辺に移すとともに、興味のない方にも編み物に接する機会を提供できるよう、飲食もできる複合店舗の開店を決意されました。

2.創業支援までの経緯

 当協会への連絡をきっかけに、面談を実施しました。事業への熱い想いとともに、移転場所の選定方法、創業形態(人格)等、創業へ向けた全般的な相談がありました。お受けした相談のうち創業計画書の策定については当協会でお手伝いを開始し、当協会単独では充分な助言が難しい内容については群馬県産業支援機構の窓口を紹介し、相談に同行することとしました。

3.創業支援の内容

 創業計画書策定支援としては、事業が軌道に乗るまでの必要運転資金を把握するため月次収支表の作成を提案し、お客さまの事業内容に適う専用フォーマットを提供しました。社長さんが納得いくまで何度もやり取りを重ねる中で、経営者として最低限必要となる資金繰りの考え方について理解を深めていただくこともできました。

 社長さんは、事業形態の違いによるメリット・デメリットを比較検討し、法人を設立することを選択しました。諸手続きのタイミングや必要書類等については、当協会の専門家派遣支援事業を活用し、助言指導を実施しました。

 法人設立登記完了を待ち、完成した創業計画書に対して当協会としての支援方針を決定した後、社長さんがご希望される金融機関からの借り入れの橋渡しを実施しました。無事に金融機関からの応援を得られ、社長さんのご希望とおりのスケジュールで新天地での事業を開始することができました。

4.創業後の業績やこれからの展望

 創業後数ヶ月が経過しましたが、新たな生徒さんも加わり、新店舗での営業は上々な滑り出しとなっています。編み物教室としての本業以外にも、子どもからお年寄りまで参加できるワークショップを企画したり、県内外の作家による展示会を開催したりと、精力的に営業活動をされています。また、近隣の経営者仲間とも積極的に交流を図っておられ、経営者としての頼もしさを感じました。これからも社長さんの思い描くお店づくりを楽しみに応援したいと思います。

事例2【創業応援チームによる支援活動】

企業の業種:学習塾
年商(目標):約7百万円
従業員:なし

1.創業の動機

 社長さんは、地元の企業にサラリーマンとして勤務していましたが、あるとき、この仕事が本当に好きなのか、このままサラリーマンで良いのか、自問自答したそうです。その結果、自分が本当にやりたいことが何なのか思い出すことができ、大好きな子供達に得意な数学を教えたい、30年続けている空手道で培った勉強に役立つ集中力を伝授したいという思いから、他とは違う学習塾を開業しようと決意しました。

2.創業支援までの経緯

 社長さんと創業応援チームの出会いは、社長さんからいただいた1本の電話でした。

 金融機関に勤めている知人から「保証協会でも創業の応援をしているよ。保証協会に相談したらうまく行くかも。」とアドバイスをもらい、早速、当協会のホームページを見て、「創業計画サポートガイド」の存在を知り、自分なりに創業計画書を作成しました。社長さんは夢の実現に向け第一歩を踏み出したのです。

3.創業支援の内容

 当協会に足を運んでもらったのは全部で3回、面談時間は延べ5時間30分に及びましたが、社長さんは嫌がる素振りも見せず、私たちの話を真剣に聞いてくれました。

 社長さんが作ってきた創業計画書や収支計画のシミュレーションは、初めて作ったとは思えないほど立派なものでしたが、以下の点についてのアドバイスをさせてもらいました。

  1.  自己資金について。「創業に必要な資金は6,000千円ということですが、自己資金はどうですか。自己資金の有無は、借入を抑えるという意味のほかに、創業者の決意と創業への準備の表れと考えています。」
  2. 開業場所について。「開業予定地は前橋市を希望しているようですが、地元での開業は考えられないですか。塾の経営は、塾名や講師の知名度が大きく左右するため、地の利を生かすことは重要なことだと考えられます。」
  3. 塾のクラス編成について。「今の学生は部活動や習い事等で忙しい日々を過ごしています。好きな曜日と時間を選択できるフレックス制にしてはどうですか。」

 社長さんは、創業応援チームからのアドバイス等に真摯に耳を傾け、自ら検討していただいた結果、資金計画を見直すことになりました。親族などからの援助が受けられることとなったため、最終的に金融借入希望額は2,500千円で収まりました。

 また、開業予定地も地元の学校で空手を教えているなど、知人もたくさんいることから、地元での開業に踏み切ることになりました。クラス編成でも提案したフレックス制について理解を示していただき導入することになりました。

 見直しした創業計画の内容や社長さんの熱意等から判断し、当協会として金融面でも応援することを決定し、保証付融資を検討してもらえる金融機関への橋渡しをさせていただきました。

4.創業後の業績やこれからの展望

 保証承諾後、2ヶ月を経過した頃に、社長さんから一通のお手紙をいただきました。内容は、「無事に塾を開くことができました。1ヶ月経過時点の予想を10名ほど上回る生徒が集まっています。目標にはまだ遠いですが、頑張っていきたいと思います。」とのことでした。夢をかなえた社長さんをこれからも応援したいと思います。

事例3【創業応援チームによる支援活動】

企業の業種:自動車板金、中古車販売業
年商(目標):約2千万円
従業員:なし

1.創業の動機

 社長さんは、自動車整備学校を卒業後、県内の自動車メーカーに勤務し、整備部門と営業部門に長年携わり、たくさんの経験と知識を積み重ねてきました。

 営業部門に配置転換になった時に35歳までには独立したいとの思いを募らせ、コツコツと自動車整備機材を揃えて、自動車板金業の開業に向けた準備を進めてきました。

2.創業支援までの経緯

 サラリーマンとして営業活動で金融機関を訪問した際に、当協会の創業支援の冊子を見て、初めて当協会の創業応援チームの存在を知りました。創業に向けた準備を進めていく中で、不動産業者から、工業団地内に条件にあった空き工場があるとの情報が寄せられたため、当協会の「金融・経営窓口相談コーナー」に相談に訪れました。

 創業計画書は未作成の段階だったため、創業応援チームではまず社長さんの思い描いている創業の夢を聞くことから始めました。事業の内容や将来の展望をじっくり伺いながら、創業計画書の雛形に箇条書きで落とし込んでいきました。

 家族にはこまかい話をしていないとのことだったため、できあがった創業計画書の素案を一旦持ち帰り、ご家族の了承を得た後に再度相談することとしました。

3.創業支援の内容

 ご家族からの了解が得られ、また、金銭的な協力もしてもらえることとなり、再度、当協会に相談に訪れました。前回作成した創業計画書素案を基に、さらに一歩踏み込んだ創業計画書作成に向けた支援が始まりました。

 借入希望額も過大な部分もあったことから、必要な設備について再度見直しを行い、売上構成や売上原価を確認して、月単位、あるいは、日単位に分解するなど、収支シミュレーションを行い、創業計画書を作成していきました。

 面談を重ねるなかで、自動車板金業と併せ、中古車販売業としての事業展開も考えに加わり、販売を行うにも立地条件の良い場所の再選定や、古物営業許可証の取得準備をするなど紆余曲折する場面もありましたが、一歩一歩、着実に創業に向けて歩んでいきました。

 社長さんも仕事の合間に何度も電話で質問をするなど、創業への熱意も日増しに強くなり、最終的には、当初計画していた半分の借入金額で創業計画書は完成しました。後日、金融機関へ出向き、その後、当協会へ保証依頼書が提出され、保証承諾に至りました。

4.創業後の実績やこれからの展望

 創業応援チームでは、創業後も継続的な経営相談を行っており、これからも夢を実現した社長さんの良きパートナーとして親身になってサポートしていきたいと思います。

事例4【創業応援チームによる支援活動】

企業の業種:美容室
年商(目標):約1千1百万円
従業員:1名

1.創業の動機

 社長さんは18歳でプロサッカー選手になり、20歳、25歳と2度の戦力外通告を経験しました。
いろいろと悩んだ結果、以前から興味のあった美容師になるため、アシスタントとして働きながら、美容師免許を取得しました。25歳で美容師になるのは遅い年齢でしたが、仕事に本気で向き合い、誰よりも練習して、いち早くトップスタイリストになるという強い気持ちで、ひたむきに努力をしてきました。

 スポーツの世界では、早い時期に引退か否かの選択を迫られており、人生に不安を抱えている人も大勢います。社長さんもその一人でしたが、セカンドキャリアで成功することにより、希望を持ち、チャレンジすれば夢は叶うという一例になれればと思い、美容師の世界で挑戦することを決意しました。

2.創業支援までの経緯

 美容室には計8年間勤務し、カット技術をはじめ、チーフとして経営戦略、後輩の教育、経費管理を学んできました。固定客が多くつくようになり、自信もついたことから、信頼しているオーナーへ独立創業について何度か相談をしてきました。独立にむけた準備、心構え、資金計画等についてのアドバイスをもらったことで、独立へのイメージが強まり、創業への希望が大きくなりました。数年前に独立をした先輩から、当協会の存在を教えてもらい「一度相談してみたら」という一言がきっかけとなり、「創業応援チーム」を訪問し、創業への1歩がスタートしました。

3.創業支援の内容

 創業応援チームの応援は、「創業計画サポートガイド」を参考にして、自分なりに作成した事業計画書をもとに、社長さんの思い描いているビジョンを伺うことから始まりました。見慣れない事業計画書に最初は戸惑っていたものの、少しずつ修正を加えることでより現実味のある事業計画書を作成することができました。並行して、社長さんが不安に思うことや問題点を、一つひとつ潰していくことで、次第に前向きな気持ちになれたようです。

 社長さんからの話を聞き、事業計画作成で特に重要視した内容は以下の3点です。

  1. 飽和状態にある美容室で生き残るため、他店との差別化を明確化すること
  2. 収支計画については、やってみないと分からない面もあるが、一つひとつの数値計画の根拠をもたせること
  3. 初期投資はできる限りの工夫をして、少しでも低く抑えること

後日、金融機関を通じ保証依頼書が提出され、保証承諾に至りました。

4.創業後の実績やこれからの展望

 創業応援チームでは、創業後の実績、経営の課題、当協会への要望等をお伺いしております。
事業計画のとおりに行かないことも多々ありますが、そういった方々の相談に乗り、できる限りのお手伝いができればと考えています。

事例5【女性創業応援チーム「シルキー クレイン」による支援活動】

企業の業種:生花販売業
年商(目標):約9百万円
従業員:0名

1.創業の動機

 社長さんは、以前からフラワーアレンジメントスクールに通い、生花店、冠婚葬祭会社に勤務し、10年以上生花を扱う仕事に携わってきました。

 その中で、今までの経験を活かし、お客様にご満足いただき、かつ自分も納得できる商品を提供したいと思ったこと、そして、今の仕事を続けていてもやがて定年退職が訪れ、大好きなお花に携われなくなると思うようになったことから、自分で花屋さんを開業することを決意しました。

2.創業支援までの経緯

 創業に向け金融機関を訪れた際に、当協会の女性創業応援チーム「シルキー クレイン」の存在を知り、創業に向けて分からないことが多く、情報は多いほうがよいと考えたことから、当協会に相談に訪れました。

 シルキー クレインの担当者は、まず創業の動機や社長さんの経歴をお聞かせいただきました。その後、創業に向けてどういった書類が必要なのか、融資を受ける際の諸手続きはどういった流れになるのかなど、社長さんが疑問に思っていること、不安に感じていることを少しでも解消できるよう努めました。また、創業計画書は具体性に欠け、大雑把なものであったため、当協会が発行している「創業計画サポートガイド」を基に、何にどのくらいお金がかかるのか、売上はどのくらいを見込んでいるのか等、一つひとつ項目を確認しながら、創業計画書作成の事前準備を行っていきました。

 不安や疑問を解消することで創業に向けての道筋が見えてきたこと、必要な設備、費用を見直す必要があると考えたことから、社長さんが創業計画書を根本的に見直した上で、再度相談することとしました。

3.創業支援の内容

 数週間後、社長さんが再度シルキー クレインに相談に訪れた際には、リストアップした必要設備について、インターネットで検索したり、店舗を回ったりすることで、より安い設備を見つけて設備計画を変更していました。また、収支計画を見直すことにより、最初は生花の店頭販売とネット注文によるアレンジメントフラワー販売だけの予定だったところ、葬儀用花販売も取り扱っていかないと目標の売上を達成することは困難であると気づき、追加するなど、理想を追う計画から現実を見据えた計画へと変更していました。また、借入希望額についても、これらの計画見直しにより、当初予定していた半分に圧縮することができました。

 後日、社長さんは、ご自身が融資取引を希望する金融機関に出向き、完成した創業計画書を示して相談しました。間もなく金融機関から当協会へ保証申込書が提出され、保証承諾に至りました。

4.創業後の実績やこれからの展望

 保証承諾後、社長さんからシルキー クレインの担当者に、融資が実行され、無事に開店することができましたと、喜びの電話をいただきました。自らの人生を懸けた夢を実現し、大きく羽ばたいた社長さんの成長を楽しみに、これからもモニタリング等を通じて社長さんの良き相談相手となれればと考えています。

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