事例1【女性創業応援チーム「シルキークレイン」による支援活動】
企業の業種:生花販売業
年商(目標):約9百万円
1.創業のきっかけ
創業者の方は、生花店等に勤務し、10年以上生花を扱う仕事に携わってきました。その中で、「今までの経験を活かし、お客さまにご満足いただき、かつ自分も納得できる商品を提供したい」と思ったこと、そして、「今の仕事を続けていてもやがて定年退職が訪れ、大好きなお花に携われなくなる」と思うようになったことから、自分でお花屋さんを開業することを決意されました。
2.保証協会との出会い
創業に向け金融機関を訪れた際に、当協会の女性創業応援チーム「シルキークレイン」の存在を知ったそうです。創業に向けて分からないことが多かったことから、当協会にご来会されました。
3.創業支援の内容
シルキークレインの担当者は、まず創業の動機や創業者の方の経歴をお聞かせいただきました。その後、創業に向けてどういった書類が必要なのか、融資を受ける際の諸手続きはどういった流れになるのかなど、疑問に思っていること、不安に感じていることを少しでも解消できるようご説明いたしました。
お持ちいただいた創業計画書は、内容について具体性に欠けていたため「創業計画サポートガイド」を参考に、何にどのくらいお金がかかるのか、売上はどのくらいを見込んでいるのか等、一つひとつ項目を確認しながら、創業計画書作成の事前準備を行っていきました。不安や疑問を解消することで創業に向けての道筋が見えてきたこと、必要な設備、費用を見直す必要があると考えたことから、創業者の方が創業計画書を根本的に見直した上で、再度相談することとしました。
再度ご面談した際には、リストアップした設備について、ネットで検索したり店舗を回ったりして、より安価な設備を見つけ、計画を変更していました。また、収支計画を見直すことにより、最初は生花の店頭販売とネット注文によるアレンジメントフラワー販売だけの予定だったところ、葬儀用花販売も取り扱っていかないと目標の売上を達成することは困難であると気づいたため追加するなど、理想のみを追う計画から、現実を見据えた計画へと変更していました。これらの見直しにより、借入金額は当初予定していた半分まで圧縮することができました。
4.創業支援の結果
後日、創業者の方は、融資取引を希望する金融機関に出向き、完成した創業計画書を示して相談しました。間もなく金融機関から当協会へ保証申込書が提出され、保証承諾に至りました。
その後、お客さまから「融資が実行され、無事に開店することができました」と、喜びのお電話をいただきました。自らの人生を懸け、夢を追い求めることは、決して簡単な道のりではありませんが、私たち「シルキークレイン」が、その達成の一助となれたことを誇らしく思います。
事例2【創業応援チームによる支援活動】
企業の業種:自動車板金、中古車販売業
年商(目標):約2千万円
1.創業のきっかけ
創業者の方は、自動車整備学校を卒業後、県内の自動車メーカーに勤務し、整備部門と営業部門に長年携わることで、たくさんの経験と知識を積み重ねてきました。
営業部門に配置転換になった時、「35歳までには独立したい」との思いを募らせ、コツコツと自動車整備機材を揃えて、自動車板金業の開業に向けた準備を進めてきました。
2.保証協会との出会い
サラリーマンとして営業活動で金融機関を訪問した際に、当協会の創業支援の冊子を見て、初めて当協会の創業応援チームの存在を知ったそうです。創業に向けた準備を進めていく中で、不動産業者から、条件にあった空き工場があるとの情報が寄せられたため、当協会にご来会いただきました。
3.創業支援の内容
初めていらしたとき、創業計画書は未作成であったため、創業応援チームではまず創業者の方の思い描いている夢を伺うことから始めました。事業の内容や将来の展望をじっくり聞かせていただきながら、創業計画書の雛形に箇条書きで落とし込んでいきました。
その際、ご家族には詳細を話していないとのことだったため、できあがった創業計画書の素案を一旦お持ち帰りいただき、ご家族の理解を得た後に再度ご面談することといたしました。その後、ご家族からの理解が得られ、金銭的な協力もしてもらえることとなったため、再度、ご来会いただきました。前回作成した創業計画書素案を基に、さらに一歩踏み込んだ創業計画書作成に向けた支援が始まりました。
借入希望額が過大であったことから、必要な設備について再度見直しを行いました。また、売上構成や売上原価を確認して、月単位、あるいは、日単位に分解するなど、収支シミュレーションを行うことで、創業計画書を作成していきました。
面談を重ねるなかで、自動車板金業とともに、中古車販売業としての事業展開も加えたことで、立地条件の良い場所の再選定や、古物営業許可証の取得準備をするなど、紆余曲折する場面もありましたが、一歩一歩、着実に創業に向けて歩んでいきました。
4.創業支援の結果
最終的に、当初計画していた半分の借入金額で創業計画書は完成しました。創業者の方は、金融機関へ出向き、当協会へ保証依頼書が提出され、保証承諾に至りました。
一連の流れのなかで、創業者の方は、仕事の合間に何度も電話で質問をするなど、創業への熱意が日増しに強くなり、私自身もその熱意に応えようと、自動車に関する専門知識等について理解を深め、積極的にサポートしました。成長の機会をいただけたこと、また、創業者の方と一緒に成長できたことに深く感謝しています。
事例3【創業応援チームによる支援活動】
企業の業種:学習塾
年商(目標):約7百万円
1.創業のきっかけ
創業者の方は、サラリーマンとして勤務していましたが、あるとき、「この仕事が本当に好きなのか、このままサラリーマンで良いのか」と自問自答した結果、「大好きな子供達に得意の数学を教えたい」と、自分が本当にやりたいことに気づき、学習塾を開業しようと決意されました。
2.保証協会との出会い
創業者の方と創業応援チームの出会いは、1本の電話でした。金融機関に勤めている知人から「保証協会でも創業の応援をしているから、保証協会に相談したらうまく行くかも」とアドバイスをもらったそうです。そこで早速、当協会のホームページを見て「創業計画サポートガイド」の存在を知り、創業計画書を作成しました。
3.創業支援の内容
創業者の方が独自で作成された創業計画書や収支計画のシミュレーションは、初めて作ったとは思えないほど立派なものでしたが、以下のようにアドバイスをいたしました。
❶ 自己資金をご準備できますか。自己資金の有無は、借入の負担を抑えるという意味のほかに、創業者としての決意と創業への準備の表れと考えています。
❷ 開業予定地に前橋市をご希望されていますが、地元での開業は考えられないですか。塾の経営は、塾名や講師の知名度が大きく左右するため、地の利を生かすことは重要なことだと考えられます。
❸ 学生は部活動や習い事等で忙しい日々を過ごしています。好きな曜日と時間を選択できるフレックス制にしてはいかがですか。
創業者の方は、創業応援チームからのアドバイス等に真摯に耳を傾け、自ら検討された結果、以上の3点についてご理解をいただき、❶ご親族さまなどからの援助が受けられることとなったため、無理のない金額でのお借入れとなりました。❷地元の学校で空手を教えているなど、知人もたくさんいることから、地元での開業に踏み切ることになりました。❸フレックス制について理解を示していただき、導入することになりました。
4.創業支援の結果
見直しした創業計画書の内容や、創業者の方の熱意等から判断した結果、当協会として金融面でも応援することを決定ししたため、保証付融資を検討してもらえる金融機関への橋渡しをいたしました。その後、金融機関から当協会へ保証依頼書が提出され、保証承諾に至りました。
保証承諾後、2ヶ月を経過した頃に、創業者の方から一通のお手紙をいただきました。内容は、「無事に塾を開くことができました。1ヶ月経過時点の予想を10名ほど上回る生徒が集まっています。目標にはまだ遠いですが、頑張っていきたいと思います。」とのことでした。
創業者の方が当協会まで足を運んでくださったのは全部で3回、面談時間は延べ5時間30分に及びましたが、嫌がる素振りも見せず、私たちの話を真剣に聞いていただきました。私たち創業応援チームは、創業を志す方の熱意を、決して無駄にはしません。
事例4【創業応援チームによる支援活動】
企業の業種:美容室
年商(目標):約1千1百万円
1.創業のきっかけ
創業者の方は18 歳でプロサッカー選手になりましたが、20 歳、25歳と2度の戦力外通告を経験しました。いろいろと悩んだ結果、以前から興味のあった美容師になるため、アシスタントとして働きながら、美容師免許を取得しました。25歳で美容師になることは、一般的には遅い年齢でしたが、仕事に本気で向き合い、誰よりも練習して、いち早くトップスタイリストになるという強い気持ちで、ひたむきに努力をしてきました。
スポーツの世界では、早い時期に引退か否かの選択を迫られることがあり、人生に不安を抱えている方も大勢います。創業者の方もその一人でしたが、セカンドキャリアで成功することにより、「チャレンジすれば夢は叶う」という一例になれればと思い、美容師の世界で挑戦することを決意されたそうです。
2.保証協会との出会い
美容室には計8年間勤務し、カット技術をはじめ、チーフとして経営戦略、後輩の教育、経費管理を学んできました。固定客が多くつくようになり、自信もついたことから、信頼しているオーナーへ独立創業について何度か相談をしてきました。独立にむけた準備、心構え、資金計画等についてのアドバイスをもらったことで、独立へのイメージが強まり、創業への希望が大きくなりました。そこで、数年前に独立をした先輩から、当協会の存在を教えてもらい、「一度相談してみたら」という一言がきっかけとなり、「創業応援チーム」を訪れてみたそうです。
3.創業支援の内容
創業者の方は「創業計画サポートガイド」を参考に創業計画書を作成されていましたので、そちらを基に、まずは思い描いているビジョンを伺うことから始めました。はじめは見慣れない創業計画書に戸惑っていたものの、少しずつ修正を加えることで、より現実味のある創業計画書を作成することができました。当協会と一緒に、不安に思うことや課題を、一つひとつ解消していくことで、次第に前向きな気持ちになれたようです。
創業計画書作成で特に重要視した内容は以下の3点です。
❶飽和状態にある美容室で生き残るため、他店との差別化を明確にすること
❷ 収支計画については、やってみないと分からない面もあるが、一つひとつの数値に根拠をもたせること
❸できる限りの工夫をして、初期投資を少しでも低く抑えること
4.創業支援の結果
後日、金融機関を通じ保証依頼書が提出され、保証承諾に至りました。
創業応援チームでは、創業後の実績、経営上の課題、当協会への要望等をお伺いしています。実際に経営をはじめてみると、創業計画書のとおりに行かないことが多々ありますが、そういった方々の相談に乗り、創業後もお客さまに寄り添ったサポートをしていきたいと考えています。
事例5【金融機関・支援機関と連携した創業支援】
企業の業種:編み物教室・飲食店営業
年商(目標):1千8百万円
1.創業のきっかけ
創業者の方は、ご祖母さまの影響で、幼い頃より編み物に親しまれてきた方です。著名なニット作家が主催する編み物団体に加盟したことをきっかけに、講師資格まで取得された方でした。
それまでは自宅で編み物教室を開いていましたが、今後の事業展開を考えると、郊外の自宅教室に限界を感じたため、交通利便性の高い駅周辺に店舗を移転したいと考えていました。
また、その店舗では、さまざまな方に編み物に接する機会を提供できるよう、飲食もできる店舗にしたいとイメージしていました。
2.保証協会との出会い
当協会へ連絡をいただいたことをきっかけに、まずは面談をいたしました。ご相談内容は、移転場所の選定方法や事業形態(法人・個人事業主)等、創業へ向けた全般的なお話でしたが、創業者の方の事業にかける熱い想いが充分に伝わってくるご面談となりました。
ご相談の結果、創業計画書の作成を当協会がサポートすることとなりました。また、当協会単独では充分なアドバイスが難しい内容があったため、その点については、群馬県産業支援機構の窓口を紹介したうえで、当協会も同行いたしました。
3.創業支援の内容
事業が軌道に乗るまでの必要運転資金を把握するため、月次収支表の作成を提案いたしました。また、事業内容に沿った月次収支表を作成するための、専用フォーマットを提供いたしました。創業者の方が納得いくまで何度もやり取りを重ねる中で、経営者として必要となる資金繰りの考え方について、理解を深めていただくことができました。
創業者の方は、事業形態(法人・個人事業主)の違いによるメリット・デメリットを比較検討し、法人を設立することを選択されました。創業にあたり、諸手続きのタイミングや必要書類等については、当協会の外部専門家派遣事業で、アドバイスなどを受けられました。
4.創業支援の結果
創業計画書が完成し、法人設立登記が完了した後、金融機関への橋渡しを行いました。その後、無事に金融機関からの応援を得られ、ご希望どおりのスケジュールで新天地での営業を開始することができました。
お客さまの思い描くお店づくりに貢献することができたことが何より嬉しく、人の夢を金融面から支援することができる当協会の創業支援で、今後も創業者の方々をサポートしていきたいと考えています。